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セミドライ加工の特徴

切削油剤を全く使用しない加工はドライ加工と言われ、加工し易いアルミや鋳鉄部品は油剤を使用せずに加工された時期がありました。今でもドライ加工する場合もありますが、高まる生産性向上ニーズや、切屑の回収容易化などで、結局ウェット加工(切削油剤加工)にする傾向が一般に見られます。しかしSDG’s等で切削油剤を極限まで削減したいと言う強いニーズによりセミドライ加工の採用が徐々に拡がっています。セミドライ加工の潤滑方法は油性ミストと水溶性ミストによる方法があり以下の特徴があります。

1.油性ミストは極微小(5~20cc/H)の加工油を加工点に噴霧・加工することで加工熱の発生が小さい極小径ドリル、小径深穴加工等や加工取代の小さいニアネット部品に有効です。ただ旋盤等の連続切削は切刃蓄熱が大きいので冷却能が小さいため不得意です。

2.水溶性ミストはミスト原液を水で20~30倍に希釈し10cc/分程を切削点にエアで高圧噴射します。潤滑と大きな冷却能が得られるので、大型部品のドリル、エンドミル加工等でウェット加工に代替が可能です。

3.セミドライ加工で潤滑、冷却効果は得られるが、加工後の機械内部の切屑回収に関しては、ウェット加工のような洗浄効果や切屑の回収機能は有していいません。

4.セミドライ加工に使用するミスト液は僅かであり部品はほぼドライ状態なので洗浄工程は不要です。ウェット加工はクーラント関連の電力費が機械動力の約40~60%を占めると言われ(自動車メーカー情報)、セミドライ加工により管理費、定期交換費用等の経費が削減可能です。ウェット加工に比較すると加工工程の環境負荷の大幅低減とコスト削減ができます。

5.セミドライ加工は極微量な潤滑剤しか使用せず職場はドライであり、工場内の臭いや通路も滑る心配は無く、ミスト液自体も環境負荷物質は含まないので、ウェット加工に比べ職場環境は大幅に好転します。