セミドライ加工の最大のメリットは大量の切削用クーラントを使用しない事によるメリットで、具体的には以下になります。
①細径ドリル深穴加工が容易
油性ミストにより細径深穴加工が容易に加工できます。これは通常のクーラントの粘度では侵入し難いΦ1mm程度の細径の切削ポイントに動粘度係数の大なミストは侵入ができ刃先部の潤滑が十分に得られます。そのため細径ドリルの切削抵抗を低減でき折損せずに細径深穴加工が可能になります。なお油性ミストでは冷却効果が余り得られませんが、水溶性ミストは高い冷却性も得られるので中・大径ドリル加工でも深穴加工が容易になります。
②スプラッシュガードが不要
工作機械で使用する切削油や切り屑の機外への飛散を防ぐためのガードが1990年後半頃から旋盤やマシニングセンターで使用されました。その後更に機械全体をスプラッシュガードが覆うタイプの工作機械が広がってきました。ただ大物部品対応の大型マシニングセンターの場合、大きいガードは工場内の見通しも悪くなります。特に大物部品の多い工場の場合、セミドライ加工ではこの大きなスプラッシュガードが不要となります。そのため作業者は加工時情報が得やすく部品の取付け取外しも容易になり、機械コストも下がります。
③加工後の洗浄工程が不要
セミドライ加工による加工部はほぼ乾燥した状態になるので、ウェット加工時の付着クーラントを洗浄する必要が無くなります。ウェット加工では切屑にもクーラントが付着しているため切屑の液を切る必要があります。セミドライ加工の場合は加工ワークも切屑も乾燥しているため後洗浄工程は不要です。