セミドライ加工の最大のメリットは大量の切削用クーラントを使用しない事によるメリットで、具体的には以下になります。
①油剤コスト、電力消費が低減可能
通常のウェット加工ではクーラント購入費の他、部品、切屑に付着持ち出し、飛散霧化等で濃度が低下するため、濃度維持のための補給、クーラント濃度測定等の工数が発生します。
セミドライ加工では噴霧した微量クーラントは乾くため回収、循環は不要です。そのため前述のクーラント管理コストやクーラントの循環動力コストも発生しません。
②水溶性クーラントの腐敗対応が不要
特に夏場には水溶性切削油剤に嫌気菌の繁殖が起こり易く腐敗臭が発生するため3~6か月毎の入れ替えが必要になります。このためのクーラントタンクや循環系の掃除が不可欠で、クーラント交換費用、タンク等の清掃費、腐敗クーラントの廃却費用等が発生します。
セミドライ加工ではクーラントは噴射後に滞留することは無いので腐敗菌の繁殖するチャンスは無いため夏季でも腐敗臭は発生せず、循環切削油剤設備の洗浄もありません。
③職場環境が快適
油性クーラントを使用する現場では加工時に油性ミストが多く発生しこれが機械自体や周辺の機械や機器等に付着し、通路は油で滑りやすく不安全になります。また加工建屋全体が独特の油臭い雰囲気に包まれてしまうため、人の集まり難い労働環境となってしまいます。セミドライ加工の場合は切削ポイントに絞った微量ミスト噴射のため加工部品も周囲もドライな状態で臭いも無く良好な作業環境を作り出せます。
④企業環境負荷の低減が可能
セミドライ加工の最大のメリットは切削加工のクーラントをミニマムにできるということであり、クーラント廃棄や臭気による外部環境負荷が無く、低炭素な加工が実現します。