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切削油の選び方

切削油剤を選ぶ場合、どんな対象物(材料)をどのように加工するかが重要です。

さらに、切削油剤を長期使用した場合の周囲環境への影響も配慮して選ぶ必要があります。

  • 材料:一般的には鉄鋼材料ではソリュブル、鋳鉄では防錆剤入りエマルジョンや不水溶性切削油剤、アルミニウム合金や真鍮等の銅合金では腐食しにくい切削油剤の選択に注意し、耐熱、軽量のチタン合金、インコネル等のコバルト系超耐熱鋼等の難削材は極圧添加剤入りのエマルジョン等、また同じ鉄鋼材料でも柔い素材や焼入れ硬化した高硬度材もあり、材料毎に工具、加工条件に対応した切削油剤を選ぶ必要があります。
  • 加工:丸棒や円筒等加工物を旋回して加工する旋盤加工、平面、曲面加工には外周に複数の切り刃を回転して加工するフライスやエンドミル加工、穴あけのドリル、リーマ、タップ加工、歯車を切り出すホブ加工や内径スプラインのブローチ加工等、各加工法で適切な切削油剤を選択します。

また、同じ素材でも粗加工と仕上げとでは工具も切削油剤も異なり、冷却性の求められる粗加工ではソリュブル等水溶性切削油剤が用いられ、ドリルやリーマ等仕上げ精度が必要な場合等は不水溶性切削油剤やエマルジョン等を使用します。つまり、加工の条件や加工方法に合った切削油剤を選定して使用します。

  • 不水溶性切削油剤を使用する職場は火災、油煙の発生、通路が滑りやすくなる等の職場環境の問題があります。近年職場環境の改善は進んできており、国内の切削油出荷動向を見ると、不水溶性切削油剤は漸減しており、既に水溶性切削油剤の出荷が過半数を超えています。近年は低粘度化や高引火点化等、不水溶性切削油剤の改善の動きも見られますが、長期的な視点で職場環境への影響、脱炭素化・SDGs への対応を考えると環境負荷の小さな水溶性切削油剤を選択する傾向が今後も継続するものと考えられます。