水溶性切削油剤は、初夏(5月下旬)以降秋口(10月中旬)にかけて気温が上がると水温も上がり微生物が繁殖しやすい温度(20~40℃)になると増殖し異臭を放ちます。
これは水溶性切削油剤に含まれる鉱油や油脂、界面活性剤等の他にも、機械から作動油や潤滑面からの混入もあり、これらが微生物の餌となり増殖しますが、増殖過程で硫化水素などの硫黄系化合物や各種の臭気ガスを発生するようになります。この微生物には空気(酸素)を好む好気性菌と空気(酸素)の無い所で繁殖する嫌気性菌があり、いずれも同じ有機物等を餌として増殖します。タンク等で好気性菌が繁殖してタンク内に酸素が無くなると、今度は嫌気性菌が繁殖を開始します。嫌気性菌は好気性菌より増殖速度が遅いのですが、卵の腐ったような強い臭気を発生し、これが臭気の元になります。またタンク底等の暗所を好む黒カビは、タンクの油剤液面の境界部等にも発生します。
なお嫌気性菌は増殖速度が遅いので、工場の連休や長期休み等で機械を長期間放置した時にこの嫌気性菌が増殖して異臭が工場内に充満することが多く見られます。