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セミドライ加工のデメリット

切屑の洗浄排出機能が無い
 機械加工に使用するクーラント液の機能には①切削部位の潤滑作用、②工具(刃部)やワークの冷却作用、③切り屑排出の洗浄作用、④加工物の防錆作用が有ります。セミドライ加工はウェット加工に比べた場合、苦手な機能としては③の切り屑の洗浄機能が挙げられます。
セミドライ加工ではミスト液を切削部位に吹き込むために高圧エアを使用しますので通常はこのエアノズルからのスプレーで切屑は飛ばされます。ただセミドライ加工の場合は切屑をウェット加工液の循環で同時に集める機能が無いので切粉を集める工夫は必要です。
また切屑の一部やその他の異物がチェック不十分で治具や加工品の一部に残留した状態で次工程に流れた場合、精度不良を発生する可能性が有ります。

セミドライ加工(油性ミスト)は高速切削できない
 セミドライ加工は1990年中頃に切削加工時の油剤量をミニマム化する目的で、刃先部のミニマム潤滑法が研究され開発されました。そのため発熱量の少ない小加工のニアネット部品や折損し易い細径ドリルには一定の需要がありました。ただ当時産業界は更なる生産性向上動向が続き、航空機材等難削材の加工には冷却能が不足し採用されませんでした。
また油性ミストの場合冷却性能が低いため、加工ワーク温度が上昇する傾向がありアルミ精密部品等は加工発熱による歪みを事前に把握するなどの注意が必要です。
ただしその後セミドライ加工の冷却性能向上を大幅改善した水溶性ミストによるセミドライ加工が2000年中頃に開発されています。これによりマシニングセンターの大物部品等の加工高速化等に多数採用されて今日に至っています。